白い白い白い
カンチェルスキス








  白い  白い  白い
 向い合ってない 十分に機能できない場所に放置された
 バスケットボールリングの 
 校庭の小学校
  垂れ下がるネットはなくて 空洞のわっかが
 空洞を自覚してなくて だからいつも
    考えるのは空洞以外のこと
        冷たい
         ・
 水溜りはあるけど
       映す空はもうなくて
     錆びたフェンスの内側の
     硬質の漆黒 枯れ木 
      当然のように 葉はなくて
      誰にも届かない枝の先に 白いビニール袋
        春になれば 桜だと主張する主人公の裏声に
          まぎれようと準備して
           そこにいる      
            ・
       観客不在のショーの始まり
 五段階の高さに並んだ鉄棒の 水滴
    誰か味方につけたいと思いながら
       耐え切れず 落ち そ うで
    地面にしたら 落ちても別に構わなくて
      落ちなくて
       地球の回転は光の推進ごとに加速する
        個人的に水流を一つ結んで 落ち た
   ブランコの鎖についた 水  滴
        ・
      サッ カーゴ ールは
     ポストの角に意識を集中させたまま
     自殺を終えた ネットの網の目の向こうに
        空っぽの電車が
     通り過ぎる
         ・
       閉じた傘を振動させる  手と息と
    足音が 移動しながら 白い  忘れそうになるほど
             白い 白い 白い











自由詩 白い白い白い Copyright カンチェルスキス 2005-01-15 16:15:19
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