白い白い白い
カンチェルスキス
白い 白い 白い
向い合ってない 十分に機能できない場所に放置された
バスケットボールリングの
校庭の小学校
垂れ下がるネットはなくて 空洞のわっかが
空洞を自覚してなくて だからいつも
考えるのは空洞以外のこと
冷たい
・
水溜りはあるけど
映す空はもうなくて
錆びたフェンスの内側の
硬質の漆黒 枯れ木
当然のように 葉はなくて
誰にも届かない枝の先に 白いビニール袋
春になれば 桜だと主張する主人公の裏声に
まぎれようと準備して
そこにいる
・
観客不在のショーの始まり
五段階の高さに並んだ鉄棒の 水滴
誰か味方につけたいと思いながら
耐え切れず 落ち そ うで
地面にしたら 落ちても別に構わなくて
落ちなくて
地球の回転は光の推進ごとに加速する
個人的に水流を一つ結んで 落ち た
ブランコの鎖についた 水 滴
・
サッ カーゴ ールは
ポストの角に意識を集中させたまま
自殺を終えた ネットの網の目の向こうに
空っぽの電車が
通り過ぎる
・
閉じた傘を振動させる 手と息と
足音が 移動しながら 白い 忘れそうになるほど
白い 白い 白い