ある愛好者の告白
愛心

僕はオキュロフィリアなんだ。

オキュロフィリアって知ってる?
眼球愛好者のこと。

あは、そんな顔しないでよ。
別に君の目をくり貫きたいとか、そんなことはしないから。
大体、生気のない目なんて全く美しくないじゃない。
死んで、濁って、澱んだ、光らない目なんて、美しくないよ。悍ましいだけ。僕はそんなのは要らないの。

僕が好きなのは生きてる目。
猫の目は綺麗だよね。
サファイア、エメラルド、ペリドット。
鹿のトパーズ。
兎のルビー。
人間の目も好きだよ。
欧米人のカラージュエルも、アジアの黒やブラウンも。

あ、ごめんごめん。
本題に移らなくちゃね。

僕はね、君が好きなんだ。
正確に言うと、君の瞳に恋をしたんだ。
ああもう、逃げないでよ。
あー、泣いちゃだめ。白目が赤く濁るだろ。
勿体無いよ。濡れると綺麗だけどね。

あは、君は小さいね。
目は大きいのに。
君の目、ガーネットみたいなんだ。
光の下だと、ほんの少しだけ、赤がちらつくんだ。
黒いのにね。綺麗だよね。

僕はね、正直君の目以外はどうでもいいんだ。
君の手足が傷だらけだろうが、髪が切られようが、顔を汚されようが、トイレの水を被ろうが、ぼろぼろのダサいかっこしてようが、口下手だろうが、デブだろうが、なんだっていいんだ。

でもね、死なれると困るんだよね。
言ったでしょ?
生気のない目なんて好きじゃないんだよ。

僕を頼りなよ。
僕は先生だからね。
君を傷付ける人間をここから追い出すことも簡単なんだよ。
消すことまでは出来ないけどね、ごめんね。

だからね、泣かないでよ。
僕は君の瞳に恋をしたんだ。
君の瞳に僕を映してよ。
あは、変態で良いよ。いつの時代でも、お姫さまを救い出す王子さまは変態だからね。

白雪姫然り、シンデレラ然り。
知らなかったなら、今度話してあげるよ。

君はもうすぐ救われる。
人を傷付けることでしか自尊心を満たせない可哀想な子どもの胸に、君は僕という拳銃を押し付けることが出来る。

引き金を引くかどうかは君が決めれば良いよ。

僕はオキュロフィリアだ。
君の瞳に恋をしている限り、僕は君の味方だよ。


自由詩 ある愛好者の告白 Copyright 愛心 2014-01-26 22:47:49
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