もやしヶ原
春日線香

眠りが足りなければ不思議なことが起きる
その言葉を証明するかのように
何日も眠れずに机に向かっていると
足裏の感触がどことなくおかしい
じゅうたんのあちこちからもやしが発芽して
生えに生えてとどまることを知らず
いちめんにふよふよと風に吹かれている
見渡すかぎりの白い草原に
萌え出づる穂は寄せては返し
そのはるか上空にはオーロラが輝き
とよく見れば あれは部屋にかかるカーテン
カーテンを開ければ窓
窓の外にはやはり生白いもやしヶ原が
どこまでもどこまでも
(病めるは昼の月)
地平線の彼方まで続いているのだった


自由詩 もやしヶ原 Copyright 春日線香 2014-01-25 00:15:14
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