砕氷船
千波 一也


かなしみは
凍てついたりしないから
いつまで経っても
わたしは
楽になれずに
ひどく体温をうばわれる


硬いものなら
落としてしまえば終わりにできる

手から放して
決別できる


するどい痛みを伴う軟らかさには
願わぬ再会ばかりが叶うから
潮騒の語りが耳に届く

少しだけ
解かれるようにして
耳に
届く


もう
衝動なんて抱かない

ためらうことも
ままならないのに
どんな身動きができようか







自由詩 砕氷船 Copyright 千波 一也 2014-01-22 17:39:53
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