宙吊り少女のコミュニケーション。
端沢 紫琴
ここに私がいないことを誰も知らない。
嘘は何一つないけれど
ここには本当の事がない。
パジャマで過ごす一日も
痴漢に耐える満員電車の一時間も
恋人とのえげつない二時間も
眠れなくて泣いている夜も
ここには載らない
誰も知らない。
途方もない毎日を一秒切り取って
適当に貼り付けた なけなしの幸せは
私の精一杯の見栄だった。
今頃 私がどうしているか
みんなが『いいね!』と言ってくれたか
今は私も 何も知らない。
自由詩
宙吊り少女のコミュニケーション。
Copyright
端沢 紫琴
2014-01-21 19:55:32