夕闇
そらの珊瑚
夕闇がやってくる気配
それは決まって
南向きの玄関の隅から生まれた
冷えていく板張りに寝転がって
図書室で借りてきた本を読んでいると
ふいに呼ばれる
声、
のようなものに
夜が
カラダを
修復するためにあるとしたら
あの時間は
ココロの螺子を
ゆるめるためにあったのかもしれない
ほんの少し
瞳の焦点をずらし
輪郭線をとばせば
わたしをとりまく世界が
ぼんやりと溶け出す
すると
黒電話の
ダイヤルは消え
想うだけでつながることのできる
ただそこにあるだけの
入口、
のようなものになる