あなたたちが作ったシステム
umineko

先日
とある公共TVの討論番組を見ていました
テーマは若者、若者世代とオトナ世代の一騎打ち
スタジオに集まってあーだこーだと、進展のない議論

それはいいんだけど

びっくりしたのは学生さんとおぼしき若者さんの発言
オトナ世代に向かってこの一言
―あなたたちが作ったシステムのせいで
―ボクたちは苦労しているんですよ
うおおっ、と
テレビの前でのけぞってしまった

確かに世界は
誰かが作ったシステムでいっぱいだ
宗教も新幹線も成人式も
生まれたときからそこにあった
富士山もオリンピックも株式会社も
みんなボクのあずかり知らぬ合間の出来事

あなたたちが誰なのか
ボクたちが誰なのか
私は一瞬わからなくなる

そして
私は何を作ってきたのか
それを
誰に残すのか

いつの世界でも
若者は馬鹿で無鉄砲で感傷的で(含む自分)
涙もろく騙されやすく忘れっぽくて(まさに自分)

問題なのは
若者という不気味な軟体動物が
実はずっと生きている
私の中に

おそらく
不満と疑問とやり切れなさの
若者という生き物に
少々の訳知り顔とあきらめを
シナモンみたいに振りかけた
それがオトナだ
オトナというフレンチ・トースト

だから
オトナは輪をかけて
馬鹿で無鉄砲で感傷的で
涙もろく騙されやすく忘れっぽい
ただ

手を差し伸べたいと思う範囲が
すこしだけ
広がりました

寄り添うこと
わけあうこと
まだ見ぬものを信じること

つまり
もっともっと馬鹿みたいです

だけど
世界はあたたかい
ものすごく理不尽で冷たくて無慈悲だけど

あなたは
とてもあたたかい
 
 



自由詩 あなたたちが作ったシステム Copyright umineko 2014-01-13 11:52:33
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