夜を歩くという事
塩崎みあき

ビルの谷底では
夜が
空よりも少し
早く訪れるだろう

何冊かの読みかけの本の中から
数ページ角のすり切れた
ものだけを選び出し
それを
開こうかどうかと
迷ううちに
街灯の月が灯る

なぜだか
喋っている訳でもないのに
自分は声が小さい

反省したりする

このまま
ビルの谷底を
歩いても
闇が広がるばかりで
先には
街灯もない

持っている物と言えば
この身体と
何冊かの読みかけの本

空は未だ紫色
辺りは
立ち込める
夜ばかり



自由詩 夜を歩くという事 Copyright 塩崎みあき 2014-01-13 00:44:44
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