樹下にて
ヒヤシンス


 冬枯れの樹の下でなぜ孤独を感じる必要があるのだろう。
 そんなことを自分に問うた事のある人が一体いくら在るのだろう。
 自分に課した約束を反故にした人は一体幾人いるのだろう。
 犯した罪の償いに一体僕は何が出来るのだろう。
 大事なことを見失う悲しみに再び夜はやって来るのだろうか。
 私の理想にあなたの現実が重なり合うことはあるのだろうか。
 あなたとの邂逅がもしもあらかじめ用意されていたとしたら・・・。
 冷静を装っていた僕の着衣が一枚一枚剥ぎ取られていくようだ。
 祭壇に掲げられた裸の僕を憐れみの目で見るのはやめてくれ。
 価値のない生贄など何の役にも立ちはしない。
 死を恐れる僕に価値は無い。
 抑えようとすればするほど溢れ出る。
 生への執着が僕を醜くする。
 抑えられない。
 人が持つそれぞれの感性が邪魔なのだ。
 落ちぶれた僕に手を差し伸べるのは誰か。
 悪の権化か醜い邪鬼か。
 僕は詩が恐ろしい。
 言葉が恐ろしい。
 抑えられない、抑えられない・・・。
 僕の神様、どうかこの弱い私をお笑い下さい。
 しかし私は待っています。
 いつまでもいつまでもきっと待っています。
 この冬枯れの樹の下で、真昼の幻想に飲み込まれそうになりながらも、
 あなたへの感謝と共にいつまでも待っています。
 心の春を待っています。


自由詩 樹下にて Copyright ヒヤシンス 2014-01-12 18:13:39
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