こころの種
梅昆布茶

光の子供たちが浮遊する緑野に
きっとこころの種もあるのでしょう

跳ねてはしゃいだり転げたり
悪さをして群れている子供たちに混じって
金色の繊毛におおわれてふわりと浮かんでいたり

葉に結ぶ朝露のように草むらにかくれていたり
はかなくも力強く輝いてみえる種もあり
時々銀の鈴のように風に鳴ったり
雲のように流れたりもするのでしょう

その中には邪悪の影を纏って誘惑者のように
つとあしもとに忍び寄る種もあろうかと

それらの種はそれぞれのこころに蓄積され
降り積もってゆくのでしょう
まるで雪のように

そして
それぞれの時間を経て芽吹き
今この瞬間に開花するもの

後にあしもとから刃となって鋭く突立つもの
あるいは太陽の輻射のように生をあたためて
ながいあいだの慰めになるもの

もしそれをあなたが望むならば望むように
あなたのなかになんらかの姿で結実するもの
そんなものかと思うのです

物理学や公式で説明できないものを
因果律や業あるいは
運命や意味ある偶然などとよぶのは
まったく自由だと思うのですが

ぼくが名付けたのはこころの種
たぶん蒔かなければ存在しない花の種です

あなただけの特別な種を蒔いて欲しいし
できれば良い種を蒔いて欲しいと思うのです

だって
あなたが蒔いた筈の素敵な種が

あなたとして花開いて風に揺れているのを
いつかきっと
みてみたいと思っているのですから









自由詩 こころの種 Copyright 梅昆布茶 2014-01-10 19:43:27
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