つんのめりラプソディ
ichirou

明日は待ちに待った卒業式だ
そして
俺はこの日を待っていた
明日で中学は終わり
みんなバラバラと散らばっていく

背水の陣
退路は断った

まゆみに
俺は今日告白する

「大事な話があるから屋上で待っててくれよ。」

これで準備よし!

半年間練りに練った演出だ
新校舎は4階建てだけど問題ない

俺は想いを綴ったラブレターを
サッカーボールにガムテープで貼り付け
グランドから屋上のまゆみに向かって
思い切り
蹴る!
蹴る!
 蹴る
  蹴る……
   ………………………
おかしいぞ
練習じゃあ 100発100中だったのに
ぜんぜん届かない!

校内にシバの女王が流れる
下校の時間だ

やばい!

俺はラブレターが貼りついたサッカーボールを
抱えて階段を駆け上がる

息も絶え絶えで屋上にたどり着くと
夕日を背にして逆光で顔が真っ黒な人の姿

まっ…

俺は入口の縁に足を引っかけて
つんのめる

ゆっ…

サッカーボールは俺の手を離れて
落ちて跳ねる

みっ…

倒れながら
俺は確かに聞いた

「まゆみなら さっき帰ったよ。」


・・・

 誰なんだお前は……………………………





自由詩 つんのめりラプソディ Copyright ichirou 2014-01-09 21:53:54
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