しまじろうは大丈夫かい?
ichirou


東京駅構内

3歳ぐらいの男の子が
しまじろうのぬいぐるみを落とす

ハイヒールを履いた女性が
しまじろうをつま先でカスるように蹴飛ばす

20cm程前方に滑るしまじろう

しまじろうをチラリと見ながら
しまじろうを避ける様に足を上げる
ハイヒールの女性

しまじろうに飛びつき
拾い上げる男の子

数秒間の出来事

母親はこの出来事を見ていない

男の子は笑っている

何事もなかった様に先を急ぐ
ハイヒールの女性

この事を凝視している自分

何でもない日常

日常はこんな出来事のカサブタが積み重なって
できている

そして
僕は
単なる断片である
そのカサブタに対して
善悪や
美醜を
貼り付け
主観的に評価する

僕は
なんて くだらない人間なのだろう

うすうす感づいてはいたが
心が狭い独善的な人間なのだ

あの小さな男の子の方がよほど
心が広く協調的な人間だ



今度
あんな事があったら
あの男の子を見習って
それに少し大人を足して
こう言おう

「しまじろうは大丈夫かい?」








自由詩 しまじろうは大丈夫かい? Copyright ichirou 2014-01-08 20:52:27
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