しまじろうは大丈夫かい?
ichirou
東京駅構内
3歳ぐらいの男の子が
しまじろうのぬいぐるみを落とす
ハイヒールを履いた女性が
しまじろうをつま先でカスるように蹴飛ばす
20cm程前方に滑るしまじろう
しまじろうをチラリと見ながら
しまじろうを避ける様に足を上げる
ハイヒールの女性
しまじろうに飛びつき
拾い上げる男の子
数秒間の出来事
母親はこの出来事を見ていない
男の子は笑っている
何事もなかった様に先を急ぐ
ハイヒールの女性
この事を凝視している自分
何でもない日常
日常はこんな出来事のカサブタが積み重なって
できている
そして
僕は
単なる断片である
そのカサブタに対して
善悪や
美醜を
貼り付け
主観的に評価する
僕は
なんて くだらない人間なのだろう
うすうす感づいてはいたが
心が狭い独善的な人間なのだ
あの小さな男の子の方がよほど
心が広く協調的な人間だ
今度
あんな事があったら
あの男の子を見習って
それに少し大人を足して
こう言おう
「しまじろうは大丈夫かい?」