一杯の牛乳のために
たもつ
牛乳を買ってきたつもりだったのに
袋に入っていたのは
それはそれは立派な
乳牛だった
妻は、こんなものどうするつもり、と怒りまくり
娘は、牛さんが来た、と大喜びをした
毎朝、新鮮で美味しい牛乳を飲めるようになったけど
飼育するのにとにかく費用がかかる
おかげで家電製品を手放した
車を手放し、家を手放し
あんなに怒っていた妻を手放し
あんなに喜んでいた娘を手放した
今朝も僕はポツネンと牛乳を飲んでいる
その一杯のために
毎朝でも僕は泣きたい
自由詩
一杯の牛乳のために
Copyright
たもつ
2003-11-02 16:12:09