明け惑い
小林螢太

手渡しされた新しい年は
少し
湿り気を帯びていて
私の砂時計は
サラサラと流れていかない

古い年に取り残されたものたちが
色を失い
塵、となって積もっては
風に吹かれて
冬空に溶けていく

どうしようもない
ものたちは
どうにもならないまま
涙滴のかたちに溢れて
キッチンの水桶は満たされてゆく



川土手の砂利道を歩めば
もう、そこかしこに
いのちの息吹きが見て取れるのに
その熱が
感じられない

見上げれば
渡り鳥が列をなして飛んでいる
その行く先に
なにが待ち受けているのか
だれも知らない

道が分かれる
立ち止まる
次の一歩がでないまま
また、空を見上げる
雲が覆い、青が見えない

春は
まだ遠い



自由詩 明け惑い Copyright 小林螢太 2014-01-05 11:06:57
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