月夜
keigo


ふと目が覚める未明
カーテン越しに
窓から漏れる寂光は
夜空に浮かぶ冷たい月のしわざ
孤独に身を任せる夜は
君がついた最初で最後の嘘を抱いてまどろむ

「いつかまた会える」

そこだけ温度をもった
淡い記憶に手を伸ばし
遠い声をたぐりよせようと
耳を澄ますほどに思い知らされる距離は
ねえ、君の面影さえも奪って行くよ

それならいっそのこと
あの時
あの月よりも冷たく
遠く
遠く
一瞬にして
記憶の底に葬りさってくれていればよかった

やがて訪れる
光溢れる朝が怖い
君のくれた温もりが
鈍く
鈍く
失われてゆくから



自由詩 月夜 Copyright keigo 2014-01-05 02:31:12
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