つまびく。
田園

つまびく。



つまびく。
とおい音がする。

海辺の砂の、さらさらという音にも似ていて、
夕闇の中、季節外れの蝉が最期の力でうたう音にも似ていて、



それでいてまったく違うのだ。



一個人がつまびいた音というのは、
万人が持つ没個性により淘汰されるものと思われるが、
何分、人間は我が強い。

一個人、一個人が違う音色を放つ。

それは良い事ではないだろうか。

けんかをしているくにがあり、
なかをつなごうとしているくにがある。

“戦争が近くなり遠くなり…繰り返す錯覚”

民と民との抱擁。



それをつまびき、皆で踊ればよい。




弱き私はそう思っている。


自由詩 つまびく。 Copyright 田園 2014-01-02 18:30:33
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