はざま うつわ
木立 悟






鉄の響き
小さな双つ
朝の川岸 曇と廃城
丘に散らばる 無数の楽器


鏡を持ち
水のそばに立つかたち
姿も鏡も
映らぬかたち


陽は中州に落ち
樹々を消し
光は倒れ
野にそそがれる


天にも地にも
蛇の冬が来て
銀と鉛の赤と白
双子の幽霊を着飾ってゆく


風は風を剥がしては振り
くちびるは触れるばかりで空を喰まず
森は白い血の管の網
色は戻り戻らぬ波の手首


発つ場所さえ
着く場所さえ消え去っても
行き交うものは
行き交うことをやめはしない


展翅台によこたわり
息はじっとゆらいでいる
冬は高く双つを持ち上げ
もうひとつの冬を見せてゆく
























自由詩 はざま うつわ Copyright 木立 悟 2013-12-30 19:23:46
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