ゆ木
砂木

林檎の花は雪色 蕾は朝焼け
雪に枝を折られながら
木を裂かれても 根は雪を吸う

発芽し実になる芽の成る術を
同じく過ごし 来年の芽は待つ

芽が実になるのは二年越し
熟成は枝から始まる
枝は葉 葉は根 根は枝

骨が降る 雲が咲く
雪は体の破片
煙になった者が 
ひらり 戻ってくる
目の中に くらり 歩いて

雪は木を潰す
植えても 育てても潰す

潰された木は斬って 火を点けて
ああ 暖かい

林檎の花は雪色 蕾は火に似て
倒された 木を拾い集め
燃やし続けるものが無くなったら

春として 雪原を歩く
雲として ゆきを巡る



自由詩 ゆ木 Copyright 砂木 2013-12-29 23:24:20
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