爪痕
森川美咲

今となってはもう
誰も私に触れはしない

あの日あの時
彼らの中で
うつむきおののき
ふるえた少女は
もうどこにもいない

それでも確かに感じているのだ
彼らの残した爪痕が
私の芯に潜って
息づいているのを

それは狂おしい
愛しさと痛み


自由詩 爪痕 Copyright 森川美咲 2013-12-28 13:09:27
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