十一月のノートから2 (十首)
もっぷ

西向いてテディと布団にもぐる夜その方角に父の墓あり


三十分電車にまかせ揺られれば宙は星星ケチらないのに


父さんの部屋の片づけしていればあれもこれもみな形見ばかり


渋谷駅ハチ公のしっぽ握って待った待たせ上手の君はいまどこ


黄色い樹から離れる瞬間を確かめられた葉っぱ一枚


いままさに文字を書いてた君のペン形見に変えた電話一本


命とか尊厳とかをわたしたち毎日食べたり踏んでるんだよ


父さんののこした願いかなえたい笑顔を忘れず日日を、それだけ


あと三円あればカキフライを一個買えた食卓きょうは一汁


寒い日にはだかのテディ抱きしめて布団にもぐるやや暖まる



短歌 十一月のノートから2 (十首) Copyright もっぷ 2013-12-25 14:04:05
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