首の傷
クナリ

限りの見えた 二人のそばに
新たな選択は見えていた

矜持よりも
恐怖に突き動かされた別れ
だからあんなにきれいな終わり方でも
後悔ばかりが湧き上がる

一人きり残されて
嘆いてばかりで
悲しい願いを空へかけても
瞬く星も見えず泣きじゃくれば
その手を重ねる誰かがいたなら



出会ったことで あきらめたもの
捨てたものほどいとおしい

未練よりも
自己憐憫が飾る記憶
自分がこんなに 自分のことを
可哀想がる日が来るなどと

食いしばりすぎて
磨り減った歯でも
蝋のような首に傷を残せる
しぶいた本音にまみれ泣き叫べば
ようやく本当の望みも見えるのか



救ってくださいなどと
誰が這いつくばるものか!
救ってくださいなどと
首が落ちても言うものか!



一人きり残されて、
嘆いてばかりで、
悲しい願いを空へかけても、
瞬く星も見えず泣きじゃくれば、
その手を重ねる誰かがいたなら。

一人きり残されて、
嘆いてばかりで、
悲しい願いを空へかけても、
手の届く場所で 毒のように優しく、
許してしまえる誰かがいたなら。

それは毒だから
私を受け止めないで欲しい
一人での歩き方を忘れたら
もうおしまい

これまでそうだったように
これからもそうするよ
ただ
首の傷だけを道連れに
ただ
首の傷だけを道連れに

ただ
首の傷だけを道連れに
ただ
首の傷だけを道連れに。



自由詩 首の傷 Copyright クナリ 2013-12-24 15:56:57
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