最後の流れ星、最初の朝
itukamitaniji

最後の流れ星、最初の朝

西の空の向こう側へと 最後の流れ星が
ついに沈んで消えていった

一体どれくらいの 願いの強さがあれば
見えないあの空の向こう側へと
たどり着くことが 許されるのだろうって
君はボロボロの願いを握りしめる

言い慣れた「おめでとう。」と
言われ慣れた「頑張れ!」の間に
置き去りにされて

悲しみも寂しさも ろくに癒されることもなく
無責任に世界は続いてく
まだ泣けない君は 終わることさえ許されず
ずっとここに立っている


街の灯りが ここからでもたくさん見える
あの光の粒ひとつひとつに
備わっている物語 きっとどこかに君のもあって
いつか出会える時を待っている

まだ立ち止まる時じゃない
言われ慣れた「頑張れ!」でもきっと
悪くないだろう?

どんな生き方を選ぶ? 誰かと比べてどうだとか
そんなことはどうでもいいんだ
誰かや何かとではない 君自身とだけ
君は辻褄を合わせればいい


そしてあとに残ったものは 願いの抜け殻
何もない真っ暗な空 予定も約束もない未来

それでも行くしかないだろう

僕らは今だって 終わりに辿り着くために
歩いているわけじゃないよな
僕らが歩いているのは いつだって
新しい始まりに出会うためだから


西の空の向こう側へと 最後の流れ星が
ついに沈んで消えていった
そして東の空の向こう側から 最初の朝が
もう君を飲み込もうとしているよ


自由詩 最後の流れ星、最初の朝 Copyright itukamitaniji 2013-12-21 15:20:55
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