ふうてん とばそ
るるりら

【車窓から見える赤い風船は、まるで祝福のしるしみたいに 】


なんでかしらないが
あなたとわたしには
おなじ「なにか」が ある気がする

その「なにか」が なんなのかを
知っている誰かがいて、
みうごきできないなりに
「なにか」を わたしはしている

あるとき ふと
やさしいきもちになることがある
なにか
わからないが
ふんまりとした きもち

そんなものに ふれたとき
ああ
なんて あの日の赤い風船のようだろう
なんてね 思うの
なんでか わからないのだけど
そうそう こんな なにかのために
また あしたも なにかしようってね
思うの



【カーナビが もうすぐ踏切ですと告げる】


中古で買ったカーナビは
わすれたころに 
「もうすぐ カーブです」という
カーブしかない 山道だというのに


山道をほどなく くだりきると
教室いっぱいに もう子供たちは あつまっていて 
うんこのうたが 聞こえてる
ぬいぐるみのおしりのやぶれたところに なんども
栗の玩具を だしいれしては とりだしては
ほこりたかく立派なうんこの歌を さっきょくしては 
たからかに 歌っていたのを 突然やめた

ふとっちょのピエロの いろんなバックから  
赤や黄色な黒の ふうせんが出てきて
つぎつぎ ふくらむ風船ごしにみる 友達の目まんまるまるまる 
長い風船は くうきをいれると くうくう大きくなり
くいっと まげると きゅうと鳴く
赤 オレンジ みどり あお 

大きな声で 最高のことばを ひびかせる
「この風船はね もって かえっていいですよお」
いっそう高い声が はじけとぶ
割れた風船を バックにつめる 
風船はあんがい お値段が張ることなんて きにしない

カーナビは 今日もバカだから
踏切りをすっかりわたったころに
「この先 踏切です」と おしえてくれる
まがりかたと くらっしゅしない 笑い方をおぼえたから
まぬけな大切なこと以外は きにしない


自由詩 ふうてん とばそ Copyright るるりら 2013-12-18 19:20:15
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