十月みそかのノートから (十首)
もっぷ

自転車で走る十月みそか頃指先ちょっぴり冬を覚えて


地方への旅の帰りの車窓から山が消えるとやすらかになる


立ち去った日々に暇をあげたあとでも変わらない時計の仕事


百日紅終わった日々に思うのはいつか消えるが命の理かと


紫陽花の終わってからもそのままのさびしい道を秋猫がゆく


キーボードgizennと打って意味を問いうなだれる日にあった出来事


冬の日の炬燵に蜜柑知らなくて冷蔵庫にはオレンジジュース


本棚に半分だけを読んである中原中也全集が痛い


午前五時朝焼け待ちの十月の風にみち聴きコンビニへゆく


きっといま世界で一番澄んでいる朝の東京あおいあおぞら



短歌 十月みそかのノートから (十首) Copyright もっぷ 2013-12-17 15:54:53
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