平井容子


もうもくどもよ、

ベッドのあさいところで
指をかぞえる
放射状にならべたままで
つかみあうことができないままで

どの地点にも等しく降る雨のようになれないものごと
すなわち、わたしの夕暮れ時へやってきて
朝方、ここではなかったと言って
唾を吐き捨てるやわらかいわたしたち

踊り狂って死ね

なぜおなじような装置を
組みたてつづけなければいけないのか
ですが
なにも架されていないのは
あまりにもかなしいことです

羅針盤、時計、具体的な指標が滅んでも残るべきものたち、あるなら

空、みじめさのとなりにある
とてつもなく透きとおるポジションへの旅
失われると知りつつくらいつく
わたしたちの背骨のなかの
一本のブルーだ…

そこにあるなら、

事実、わたしはうつくしい姿勢で
ねむることができない
ここは海だろうか風のなかの
リネンだろうか
それとも

夜は紙でできている
いつでも破れうるし
わたしはいつでも
ひつようなぶんだけ生まれている




自由詩 Copyright 平井容子 2013-12-10 17:47:59
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