花となって競い合う
小川麻由美

固いつぼみを こじ開けようとも
春を待たねば 時期早々
滲み出た 乳白色の液体が
フェルメールの「牛乳を注ぐ女」の
器に混ざり込み 静謐な
長方形の世界に留まってしまう


暖かさを待ちきれず
狂い咲きした 可憐な花は
冷気に耐えきれず
はかなくも舞い散り
未熟な種子をもうける


百花繚乱


温度計も浮き足立ち 伸びをする 
一枚一枚の花びらが ほぐれ 
花となって競い合う
そんな季節を繰り返す
ここが 私は好き


自由詩 花となって競い合う Copyright 小川麻由美 2013-12-09 12:15:39
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