象徴
まーつん

 空に延ばされた
 無数の手が
 草原のように
 なびいていて

 その上を漂う
 タンポポの種が一つ

 象徴とは、多分
 そのようなものだ

 手の届かない
 約束のような

 冬の夜空を焼く
 ちっぽけな
 星の輝きのような

 土砂降りの雨の中に跪き
 結び直される、靴紐のような

 忘れないようにしよう
 小石を握り締める
 確かさを信じて

 血が滲むほど
 爪が食い込むのなら
 それが、生きている証し

 痛みが
 血のぬめりが
 生きている証しなんだ

 そして
 ふり仰げば、空
 雨雲はいつか、消えていて
 漂うタンポポの種一つ

 あれが私であり、貴方

 ならば、空は
 なんだろう?


 それは、象徴


 形なき、
 自由の象徴







(2013.12.8)




自由詩 象徴 Copyright まーつん 2013-12-08 20:48:21
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