ひとりさみしい詩想いろいろ
クナリ
<沼>
いつでも死ねると思うから今日も生きていけるんじゃないかと
わざとらしくうそぶくあの人の言葉を
昔は笑ったり
ばかにしたりしていたのだけど
共感を求めたことなど一度もなく
自分の方が必ず他人よりも深い場所にいると
その思い上がりが修復されたのは
喪失のおかげなのだと
認めたくないままの
今このとき。
<共感>
趣味や食べ物やいろいろ
あなたの好きなものをひとつひとつ自分でも試してみて
自分もそれを好きになれた時の喜びときたらひとしおなのですが
あなたにはこのような喜びまでは
共感してもらえないのでしょうね
私があなたを想うのと同じように
あなたは私を想ってはいないのですから
当たり前のことでは
あるのですけどね
憧れる共感は
手に入らないから
憧れていられる
当たり前のことの
なんという真理性
あなたとならば
永遠に憧れていられる
それを共感できないことの寂しさが
私をあなたなしでいられなくさせる
よわっちくて
しょうもなくて
だめなやつだと思うでしょう
必死だよ、いつも。
<肉片>
腐りさえしなければ
あなたの肉片ひとつあれば
十全なる満足とともに
このまま老いさらばえてさえいけるのに
新しい思い出なんてひとつもなくとも
新しい思い出なんて
なんと恐ろしい。
<あわれみ>
そうです
僕はあなたに
かわいそうですねと言って欲しいのです
他の人に言われたならもう口もききたくなくなるでしょうが
あなたには言って欲しいのです
他にあなたの気を引く
方法なんて無いものですから。
<楽しい思い出>
風のひと吹きで
頭ごと消し飛ぶ。