普通の空
壮佑
仕事場のドアを開けると
早く来て掃除をしている筈の君がいない
代わりに卵がひとつ床に転がっていた
とうとう君は卵になってしまったのか
私には何も言ってくれなかった
淡いピンク色をした卵を
手のひらで包むと生あたたかい
君が見ている夢の温度なんだろう
私は軒下の燕の巣の中に
卵になった君をそっと置いた
いつか君は雛になって
燕として成長して
今日とあまり代わり映えのしない
普通の空へ飛んで行くのだろう
それが君の夢だったから
その時が来れば
やっぱり私は泣くのだろうか
空は普通の空なのに