だからタンゴを踊りましょう
中山 マキ





不思議ね、
悲しいことは平等なのに
嬉しいことは不平等

優劣が避けられない
年齢を重ねても
自然と大人にもなれないし
誰にも優しくなれないの

ただ道を歩いているだけなのに
人がぶつかって
不機嫌に行き過ぎる

一生懸命走りながら向かう場所
たとえ辿り着けなくとも
必ず変わりはいることに
無気力と安堵が共存して

満足している明日が
何処にもないような気がして
絶望する

それでもね
どこかの産婦人科では
今、この瞬間に子供が産まれ

人々の日々の大半が
何も掴めていなくてもお構いなし
どこかの病室は
喜びに満ち溢れて
細胞分裂は正確に繰り返している

だから
その小さな手を取って
これからどんな未来がそこにあるのか
なんてことを
追求せずに踊って

祖父も祖母も
父も母も
踊り狂って

産まれて来てくれてありがとう
産んでくれてありがとうなんて
ありきたりなことでも泣き喚きながら

その時ぐらい
分け隔てなく平等で
世界が平和そうに見えたらいいのに








自由詩 だからタンゴを踊りましょう Copyright 中山 マキ 2013-12-06 16:53:18
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