パリ北駅から寝床
番田 


パリにたどり着くと僕は
ドミトリーにたどり着いた
不思議な男のウインク
素っ気ない学生の案内
やっとたどりついた
それ以上の疲れ
北駅は渦のよう
東欧と
イベリア半島とを結びつける
人種の宝庫
喧噪はNY以上
仏語を話せと怒られ
英語で謝った


ドミとはいえ
なかなか寝心地の良い
簡易ベットに横になる
ひそひそと話す
まだ幼い少女たち
寝ている人を見回す
女の子の部屋
なかなかかわいかった
僕はモノが盗まれないかと
カーテンを閉じた


そんなことより
何気ない窓の風情が
きれいだな
雑誌で見たことのある
どんな写真よりも
そして静かすぎた
下で飲んでいる若者たちの
ときどききこえる
寂しい声


人は 似ているけれど
環境だけは姿を変えていく
耳を澄ませば 聞こえてくる
音や光をみているひととき
家具や床が 色をなす
もう少し ゆっくりしてくればと
今さら思うのは
死ぬときのふとんの上でも同じかも知れない



自由詩 パリ北駅から寝床 Copyright 番田  2013-12-05 23:24:28
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