失業手当の幻
番田 

夜は誰もいない
言葉は誰もいない幻
そして走り出す
道を探す
見えない夜の中
僕はどこにいる
電柱と肩を組んだまま


韓国で旅券を発券し
欧州へ向かっていた
飛行機の電灯の下
テーブルの振動だけを感じる
そして流れた
時の中をロシア上空で
翼の下に広がる穀倉地帯
もう一人の僕が
そこで生活していた


すでにぼくは
死んでいるのかも知れない
そんな事を思いながら
パリに降り立った時
あまり良い雰囲気はなかった
先頭の女についていく
税関への通路を歩く
僕は一人
ドミを探す


メトロは暗い
迷路のようだ
NYのような
灯火が欲しい


自由詩 失業手当の幻 Copyright 番田  2013-12-05 01:10:15
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