真っ白な夢
ヒヤシンス
夢の中に突然現れた君は、まるで僕の古くからの親友のようだった。
君はピアノの前に座り、こんな曲が出来たんだ、と僕に教えてくれた。
僕は君の口ずさむその曲にいつしかハミングしていた。
それはなんとも美しい曲だった。
殺風景なその部屋に風は吹いてなかったが、
窓際のレースのカーテンは心地よく揺れていた。
君から心の安息を感じた。
僕は君を独占していることに喜びを感じはしたが、それほどでもなかった。
君はその穏やかな表情で、僕に何かを伝えようとしたのだろうか。
僕の停滞を気遣ってくれたのだろうか。
アイディアの欠片を銀の音色に響かせてくれたのだろうか。
もしかしたら君は僕に再び創造する事の喜びや苦しみを伝えたかったのかもしれない。
気がつけば、窓の外にもこの部屋の中にも雪がしんしんと降っている。
君はいつまでも優しく微笑みながら、僕に向けて白くて美しい曲を奏で続けていた。