玉ねぎと宇宙
まーつん
人には身体があって
それを包む心があって
更には世界がそれを包み込み
玉ねぎのように、
剥いても、剥いても
涙しか出てこない
私たちは
芯なのか
それとも、芯を取り巻く
皮の内のどれかなのだろうか
明日を憂い
昨日を悔いるこの心は
層をなす宇宙の構造の
どの辺りに当てはまるのだろう
ぼろぼろに朽ちかけた外皮なのか、
みずみずしさを保った内側か
休日の台所に立って
カレーライスの食材を刻みながら
そんな想いをもてあそぶ私には
食卓を囲む家族も、
静けさを壊すテレビもなく
ただ己以外に、話し相手もいない
そこに痛みと
喜びとを感じながら
玉ねぎを手に取り
じっと見つめる
宇宙を宿した野菜を
そして
そんな自分の滑稽さに
笑い出さずにはいられないのだ
(2013.12.3)