「貧乏なひさし君はいかにして自己実現をなしえたか。」体験後記
星☆風馬

「貧乏なひさし君はいかにして自己実現をなしえたか。」を終えて

投稿者:松本K 投稿日:2013年11月18日(月)21時13分13秒 返信・引用

こんばんは。Kです。ようやくほげ〜の時間も取れるようになり、劇のことなど思い返しております。劇の作成に関わり、今回の劇のキーワードは即興性だったのかな、と思っております。大耳ならでは、カットさんならではの劇、即興性が社会を写す鏡になり、それが写された演劇になったと思いました。集まった人材の多様性は大耳ネットワークの多様性。なかでも速水百之進くん、まろさんの参加で今回は2人の役者が誕生、速水君の透明な明るさは心地よく、まろさんの胡散臭い先生役は本番中もかなり笑いをこらえていました。6月から始まった練習はリズム訓練、身体訓練、そして即興演奏と踊りで、考えない直感レベルを鍛える訓練。調和したり崩したり、相手の音、気配を聴く、感じるというのは演劇、舞台空間を作る上での基本なのだろう。そこは即興性の現場そのもの。7月からは30分で芝居を作り上演するという即興劇も加わり徐々に劇モードに入っていきました。これらは8月からの脚本実験につながっていきます。参加者全員が脚本作成に参加し、お互いの提出された脚本を読むことでそのアイディア、人物などを次の脚本に反映させていくという方法。第一場はカットさんが書き、その後はみんなが書いてきて読み合わせ。大変だがとても面白く、他の人の脚本が読めてとても勉強になった。そしてそれらの脚本はカットさんによりつなぎあわされた。鹿児島陽子の脚本を3・5場(4場)として挿入したさちんの腕前、だてに九州戯曲大賞取ってないな、と思った。

 第一場(下松)   校歌、ひさしにかけられるまじない
 第二場(かずっち) 山下先輩登場、アンズとバナナ、抒情的青春
 第三場(さちん)  ムハンマド父登場、カレーとタマネギ、サインコサイン
 第四場(陽子)   3・5場、父との再会、前田エリカVS母
 第五場(さちん)  株式会社ジョニー、白い人
 第六場(さちん)  自衛隊入隊、白い人

6場の自衛隊での殺人を白い人により血の祝祭に変えていく手法は儀式的でかっこよかった。

 第七場(下松)  ひさしの自己実現

脚本は以上のようにつながれて完成。そこに写された世界は私にはすごくわかりやすく、すごくおそろしい世界に思えた。その暗さ、救いようのなさ。しかし、読み合わせでそうだった劇が立ち稽古をしていくうちに、明るく救われているように思え、ひさしの最後の叫び声は、全てのエネルギーの放出、破滅の叫びであるが、世界の滅亡はこんなにも明るく、宅間守も酒鬼薔薇も加藤智大もドクラ・マグラの無差別殺害と同じく明るい太陽の下で行われた白昼夢のような凄惨な美しさだと思った。絶望上等。母を殺し、拳銃をかざして町へ出よう、学校へ行こう。演劇とは魔術だと思う。負の世界を生の世界に変える魔術。これは参加者たちの地道な身体訓練(腕立て伏せ、腹筋、背筋、スクワットなど)やダイエットなどの効果が大きいと思った。参加者の生命エネルギーが負の世界を真逆に変えたのだろうと思う。

脚本に自衛隊シーンがあるのが今の日本とリアルにかぶりおそろしい。これから暴力を制止するものがなくなれば政府によるあからさまなテロリズムが開始される。暗殺、戦争動員、秘密裁判による処刑。これら負の世界を生の世界に変えるのも生命エネルギーなのだが、貧乏なひさし君が今の日本政府とかぶるのは、まさに今起こっている現象そのものを彼が体現しているから。ファシズムは明るい滅びの姿。参院選自民圧勝、東京オリンピック開催、福島は無視、陰で秘密保護法。それで?ひさし君が示した白昼夢は今の日本の向かう先、ハルマゲドン、アベマゲドン、、さあ、気づいた者は引き返せ。破滅がいやだと思うなら。

なんか、そんなことをつらつら考えておりました。昨日ようやく暇があって書き始めたのですが一日かかってしまった。11月7日のデビット・アレン、you me & us素晴らしかったです。次は大耳ライブだ!!

(以上、大耳掲示板「消すときゃ消すよ」より引用)




散文(批評随筆小説等) 「貧乏なひさし君はいかにして自己実現をなしえたか。」体験後記 Copyright 星☆風馬 2013-12-01 10:08:08
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