青いひつじ
月乃助


心の 光合成らしきものを
うしなった日


一人掛けのテーブルに
書置きをのこし
家出する




…そこは、街路のきえた荒地
枯れ葉が、錯乱したさき
風の音に リュートのしらべが重ね


悲しみは、いつも荒野をさまよい
息を止めるように 心を停止し
感覚だけの 応えをもとめる


精神は、きまって意識の野辺をただよう


時間に隷属する下僕に なれず
たちすくめば


人が口にする
努力がむくわれるという
その神話は、誰の手によるのか


遊牧の民がむこうに
とおりすぎた


ふりむいた
青い瞳の少年は、巻き毛の
私の息子にもにた


細いむちをふりながら
ここは嫌いだと、厳しすぎる暮らしに
羊にやる草をもとめるのは、うんざりだと、


うなずく事もせず


羊の群れの跡
さっきまでの おごそかな騒々ざわめきがため


眩暈


倦怠は、
溜め息


私は、私を支配する血液の循環をとめることもできずにいる


つめたい緯度の 経度の下に
とがった岩の柱廊によりそう あの
群れを導く一人の少年は、「過誤」という名


学者のように彼は、
口元だけのわらいに
人の一生は、重荷を背負うごとく、野辺をさまよう
嘘言をつぶやく


追放した我が身ならば なおさら
はてしない道を歩む
遠く 群れにむかって、


鋭利な 石礫をひろいあげ
心のそこから 力のかぎり
あの詐欺師にむかって、、 


なげつける







自由詩 青いひつじ Copyright 月乃助 2013-11-29 23:23:18
notebook Home 戻る  過去 未来