金枝篇
hatena
靡く金色の。靴底に曳いた光の。さめざめし
く降る未明の、雨が、床を濡らし。
ひめやかなる空の、菫色の雲が群がり、風を
引き裂いた。妖精の唄が途絶え、大地の硬さ
をここに知り、遠くなる景色が、傾れ、霞み
ゆく、
蒼のラインが雪ぎ。永遠の雪を積らせる、部
屋のカーテンを取り払い、採光して、電気仕
掛けの蝶を育み、また飛ぶ、水面を。
ひとつ、ふたつ、みっつよっつと、5つ目の
森の、きみの、黒の瞳が反転し、溶暗する世
紀に。
溶けだしたあしの、もろくなるはだ、けいこ
うみどりにかがやくからだの、奥の底で。赤
く、硬い、冷たい核へと。突抜ける痛みに、
比較すれば大したものじゃない、
靴紐を、しっかりと結び。空のように跳ねる、
光の一群の元で踊り。旧い歌を案内として、
唇を闇に触れさせ、
月の波の音が、風と共に流れ流れる、冷た過
ぎる川の、息詰まるほど美しい流線を、抱き
取り。黒い群れを引き連れて、一蹴する、冥
い路地、その突き当たりの世界の果てに。