パルプンテ
和田カマリ

工事現場で爆発事故に遭った俺
飛んで来た鉄棒に脳を貫通され
大脳辺縁系と大脳皮質との
連絡網を断ち切られてしまった

奇跡的に一命を取り留めたが
現場仕事には復帰出来そうに無く
見舞いに来た総務の人と相談して
事務職に配置転換してもらうことにした

退院後
最初拍手で迎えてくれた同僚たちも
次第にこの俺を遠ざけるようになった
なぜなら俺は・・・
爆発事故の後遺症なのか?
あれ以来
人とのコミニケーションがうまく行かない

先日所長がやってきて
「まあ、言いたくは無いんだけど、所内で君のこと
がちょっと問題になっていてね・・参っているよ。
なんせすぐ怒るし、同僚へのおもいやりは無いし、
肝心の仕事にしても、とかく場当たり的で計画性が
感じられないんだ。ちょっと病院に行くとかどうに
かならないもんかね?」
俺は事務所の鼻つまみ者になった


ある休日の昼下がり
職場でのストレスをかかえ
家で悶々としていると
嫁が・・・
「お隣の枯葉が家に飛んできて困る。
あんた文句言ってきてよ。」
とか、
「子供が学校で算数20点だった。
あんた勉強を教えてやってよ。」
とか
どうでも良い様なくだらない事で
この俺をイラつかせてきた

俺は辛い職場で一日中
仕事の事を考えているんだぞ
お前は良いよな自分の事ばっかりで
もう黙れ!思い知らせてやる
堪らず嫁に怒鳴り散らした

「俺は一日中、お前の事ばっかり考えている、黙れ!」

はぁ

病気のせいなのか
思い通りに言葉に出来ない俺
しかし嫁は何ともいえない良い顔で
「うん、ありがとう。あなた愛してる。」
いきなり抱きついてきた

それから俺達は
子供が遊びに行っているのを良い事に
久しぶりに合体した
感情と理性が渾然一体となった
最高のSEXだった
そうだ会社の連中とも
こんな風な気持ちで付き合えたら・・・
俺の中で何か・・・
右と左のようなものが・・・
繋がった気がした



参照
くだらない話  タメイキ団の詠み人知らず(ネットピープル)さん


自由詩 パルプンテ Copyright 和田カマリ 2013-11-26 19:36:46
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