消えるには少し速い
るるりら

山道は
うつらうつらと 川のように曲がりくねり
日差しが 折り紙の 折り目のよう
知識の折りたたまれた場所に
潤うしい硯の前に 座ろう



花は、テーブルにひとつあれば いい
たった ひとつの心のストロークで 筆の行き先が花園になる
尾てい骨に根が 生えて 一本の筆になろう
尻骨ー筆間ー腰ー腹ー喉ー命の毛
一本の筆は 人の魂の棲まう場所、人の身体と同じく慈しむ


硯は
人を
見る



硯の一部分は窪み、月の表面で すられた墨が
窪みの「海」へ溜まる



座ろう
硯の海のさざ波
かすれてきえそうな
心という字



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初出「あなたにパイを投げる人たち」の即興ゴルコンダ(仮)に
投稿させていただいたもの

タイトルは クローバーさんです。



自由詩 消えるには少し速い Copyright るるりら 2013-11-24 23:42:52
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