ネコと私とこの世界
番田 


踏んだアクセル
心がバネみたいに
飛び出した 夜の高速道路の対向車線から
情熱が そんな風に 感覚として
感じられないまま 私は
体をなくした 見えない 夜の世界の
闇の中から
ひどい寂しさを抱えて 逃げていた


速度を上げる車
感覚の向かう場所はどこだろう
だけど 避けるつもりでいた 私は
幼少期の憂鬱な人身売買を思い出して
楽しくはなかった 私は なぜ
いつも心の中に恋人は存在しないのだろう
何もなかった 感覚のない体に
目を背けることからはじめよう


確かな自分ではない体は立っていた
男はそこで 安い値札だけを探して
そして 買った 私を
レジに 腕を引き連れて ひっぱって行った
信じられなかった 多分親の言葉も
微笑みの中 心自体である目を探した私は
そして 思い浮かべていた 飼い猫を
この心の中に 抱き留めて



自由詩 ネコと私とこの世界 Copyright 番田  2013-11-24 19:27:10
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