挿し木になれれば
有希





    目が覚めたら ベンジャミンになっていました
    ベンジャミンの木になっていたのではありません
    枝の先の 小さな葉になっていたのです



    ベンジャミンの木に聞いてみました

     わたしは葉ですが、どこまでがわたしですか?
     葉は全部わたしだと考えていいのでしょうか?
     それとも、隣の葉はわたしではないのでしょうか?
     枝につながる茎はわたしに入るのでしょうか?





    お前はお前だ。

    それだけ言って ベンジャミンは向こうを向きました





    養分を吸い上げました
    霧吹きで水をあびました




     思ったんですけど、維管束は誰のものですか?
     葉緑体はわたしのものですよね?
     というか、あなたもわたしではないでしょうか?





    わたしはお前ではない。
    しかし、お前はわたしだ。


    そう言って ベンジャミンは目を瞑りました














     それでもいいです
     生きていけるなら


     いつかわたしが挿し木になったら
     隣に並んで お話ししましょうね




自由詩 挿し木になれれば Copyright 有希 2005-01-11 00:59:25
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