挿し木になれれば
有希
目が覚めたら ベンジャミンになっていました
ベンジャミンの木になっていたのではありません
枝の先の 小さな葉になっていたのです
ベンジャミンの木に聞いてみました
わたしは葉ですが、どこまでがわたしですか?
葉は全部わたしだと考えていいのでしょうか?
それとも、隣の葉はわたしではないのでしょうか?
枝につながる茎はわたしに入るのでしょうか?
お前はお前だ。
それだけ言って ベンジャミンは向こうを向きました
養分を吸い上げました
霧吹きで水をあびました
思ったんですけど、維管束は誰のものですか?
葉緑体はわたしのものですよね?
というか、あなたもわたしではないでしょうか?
わたしはお前ではない。
しかし、お前はわたしだ。
そう言って ベンジャミンは目を瞑りました
それでもいいです
生きていけるなら
いつかわたしが挿し木になったら
隣に並んで お話ししましょうね