霊感の鳥
まーつん

   透明な空に
   透明な鳥が
   飛んでいる

   草を蹴って
   跳ねる子供が
   捕まえようと
   手を伸ばす

   晴れた空は入口
   空想の世界への入口
   透明な鳥は案内役

   神様の家の鳥籠から
   あちら、こちらへ
   遣わされ

   でも
   掴まえるのは
   至難の業

   幼い目にはよく見える
   経験の無さを、想像が補う

   鳥もそれほど嫌がらない
   皺のない手で捕えられ
   願い事の囁きに耳を傾け

   透明な鳥は
   うんうんと頷き
   幼い手から解放されると
   目指す場所へと羽ばたきだす

   子供の心を振り返り
   追いつくのを待っては
   また少し先へ進み

   青い空の
   先へ 先へと
   透明な鳥だけが知っている
   自由な心の故郷へと
   案内していく

   そんな気軽な
   現実逃避
   大人になったら
   難しい

   透明な鳥は
   霊感の仮姿

   世知で鈍ったアンテナでは
   たやすく視界に拾えない

   今日も丘の上に立って
   たくさんの大人が
   青空を見回す

   答えが
   落ちていないかと

   胸の内に巣食う
   無意識の求めへの

   でも、
   霊感の鳥は
   見当たらない



   眩しすぎる太陽が
   光の隙間に隠している




   (2013.11.21)


自由詩 霊感の鳥 Copyright まーつん 2013-11-21 12:07:18
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