レインボーお父さん
平瀬たかのり

 久しぶりだよね
 日曜日お父さんと二人でいるの
 何よその目
 なんか警戒してるっぽい
 あ、いっしょにお風呂入ろっか
 なぁんてうっそ冗談
 慌てちゃってかわいいんだから
 え、親をからかうのはやめなさいだって?
 よく言うわね今までさんざんムスメからかってきたくせに

 ねえお父さん
 ううん何でもない
 何でもないったら
 何でもないっていってるじゃん
 だから何でもないんだってばっ!

 ごめんね
 達也くんと別れたんだわたし
 嬉しい? お父さん嬉しいよね
 わたしから終わりにしようって言ったの
 笑ってよ笑っていいよ何で笑わないの
 らしくないよお父さん

 変ね何で何でだろう何で
 ねぇ涙が止まらないよお父さん
 わたしからさよなら言ったのにさ
 うわぁ鼻水も止まんない
 水溜りみたいになってるよテーブルの上
 おっかしいあはははははは

 お父さん虹になれる?
 わぁ
 さっすがぁ
 きれいよお父さん
 わたし今日のお父さん一生忘れないだろうな
 知ってる?
 虹がかかる時その反対側の空には
 白一色の虹がかかってるんだって
 でもそれは誰も見たことがないんだって
 だけど今
 お父さんには見えてるんだよね
 わたしが振り向いたら消えてしまう
 白い虹

 今からね千恵と二人で焼き肉行くの
 ニッキュッパーで食べ放題飲み放題
 だからほら早く三千円出して出して
 こら
 勝手に青白い虹に変わってるんじゃないのっ


  (五連目 川崎洋「にじ」よりの連想)


自由詩 レインボーお父さん Copyright 平瀬たかのり 2013-11-20 21:18:43
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お父さんと洋子ちゃん