幸福のゆらぎ
ヒヤシンス
時空のゆらぎを感じて漂う心情。
ある時は旅情となり、またある時は慕情となる。
孤独に縁どられた私の過去の墓標の前には、
今はもう懐かしさを感じさせるものばかりが並んでいる。
私が嫉妬をしない事に腹を立てた先輩がいた。
他人が争うのを冷めた目で見ている私を冷たい奴だと呆れた同輩がいた。
部下の失態を全て自分のせいだと腹をくくった私をお人好しだと笑う後輩がいた。
感情を表に出すのが苦手な私を朴念仁と決めつけた親族がいた。
それでも私は人間なのだ。
気が弱く、人の感情に左右され、誰よりも嫉妬深い人間なのだ。
血の通った人間なんだ。
それをわかってくれる人が一人でもいてくれたら・・・。
今私は新しく生まれ変わり過去の墓標の前にいる。
今私は誰がなんと言おうと幸福だ。
懐かしいものが糧となり、私はただ幸福のゆらぎの中に漂っているのだ。