海月のまなこ
雨慈ムシ

白い珊瑚礁から 若い泡が立ち上り
陽を拝む前に 歳老いて消えるのを
何十何万と見てきた

覚束無い身体を揺すって
光の涙をゆうらりと
遊び心を腐らせた碧瑠璃を
黒ずんだまなこで愛している

鯨は輪郭を食らいつくす
在ること無いこと 無知に無邪気に食らう
夜を終える前に逃げ切れば
辛うじて朝を負えるのだ

陽を拝むには若すぎて
陽を好くには歳老いすぎて
朝を一心に見つめ 喉が疼いても
碧瑠璃は言葉を濁す

そんな 狭間に濁る私を
飴を与えてなだめ透かし
押し並べて水平線をつくるお方だ

きっと泡のように儚く
鯨のように貪欲で

最低に綺麗なのだろう


自由詩 海月のまなこ Copyright 雨慈ムシ 2013-11-18 00:45:50
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