海月のまなこ
雨慈ムシ
白い珊瑚礁から 若い泡が立ち上り
陽を拝む前に 歳老いて消えるのを
何十何万と見てきた
覚束無い身体を揺すって
光の涙をゆうらりと
遊び心を腐らせた碧瑠璃を
黒ずんだまなこで愛している
鯨は輪郭を食らいつくす
在ること無いこと 無知に無邪気に食らう
夜を終える前に逃げ切れば
辛うじて朝を負えるのだ
陽を拝むには若すぎて
陽を好くには歳老いすぎて
朝を一心に見つめ 喉が疼いても
碧瑠璃は言葉を濁す
そんな 狭間に濁る私を
飴を与えてなだめ透かし
押し並べて水平線をつくるお方だ
きっと泡のように儚く
鯨のように貪欲で
最低に綺麗なのだろう