効率が悪い
ホロウ・シカエルボク






何度か
反響して
その後
ピアニシモで
消えた
短い言葉
爪先が弾いた
小石のようだった


リコシェ
アルデンテを
やたらとウリにしてる
リストランテの前で
立小便をした
真夜中なので
なにも
問題はない


俺の
魂の形状が
その壁に
記されている
それは
小便と言えば
小便だが
例えば
詩だとか言っちまえば
押し切ることも
難しくない


路地裏のどんづまりに
車が一台
放置されている
ジョンの息子が
販促してたヤツさ
事故ったんだ
三日くらい前かな
運転手が逝っちまって
身元が
まだ判らない
とかで
とりあえず
そこに
移動させられた
潰れたフロントが
壁に向いてるから
パッと見
駐車してるだけに見える
だけど
近寄れば
判るはずだ
焼けた機械の臭いと
微かな血の…
誰もいい思いはしてない
誰も
いい思いはしてない
だが
そいつは
そこに
置いとくしかない


コカ・コーラの自販機の前で
薄汚いガキどもが群れていて邪魔だったので
死角から近づいて
ハンマーで
片っ端から
後頭部を
砕いてやった
不思議なもので
そんな風にやられたやつはみんな
ふひゃあ
とか
みゅう
とか
わけの判らん
声を出すのだ


それから
マクドナルドで
軽く食べた
その店の物陰に
ハンマーを捨てた
指紋は残していない


ゲーム・センターで
少し遊んだ
スペース・ハリヤーがあって
久しぶりにチャレンジした
だけど
このテのゲームって
主人公無茶過ぎるよな
チェイスC・Qがどっかにあったら
ウキウキするんだけどな


帰り道にさっきの道を通ったら
もう警察が来ていた
なんかあったんですか、と
俺は話しかけた
ええ、ちょっとね、と
無愛想な警察官は言って
すぐにそっぼを向いた
俺は野次馬根性を装って
彼の肩越しに現場を覗き込んだが
すぐ
阻まれた
わかった、と俺は頷いて
その場を離れた


噴水広場のベンチで
酔っ払ったカップルがかなりの状態までいってる
ハンマーが
何本あっても





足りないな







自由詩 効率が悪い Copyright ホロウ・シカエルボク 2013-11-17 09:38:34
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