痛む腹
月形半分子

痛む腹 痛む足 痛む思い
痛む腹は可哀相だねぇ
痛むほど無理させられてたってのに
今の今までだぁれにもわかって貰えないで
今しきりにキリキリ悲鳴あげてるんだから
あらあら、悲鳴をあげているのは腹じゃないよ
私じゃないか、腹を痛めた私だよ
なんてことだい 
あんた可哀相ついでにもう一仕事
もう少し大人しく痛んでおくれでないかい


痛む足が可哀相だって?
痛むほど歩いたってんだから
たいしたものじゃないか
気にしなさんな
自慢してやがるのさ
足の奴め
こんなに働いたのはお前じゃない
この足様だってね
だから私も言ってやるのさ
やれやれ、足めも棒になったと泣きごとだよ
仕方ない、一休みしようかねって
わざと言ってやるのさ
私はちっとも疲れてなんか
いやしないのにさ
まぁたくでくのぼう様のせいで
とんだところで一休みだってね

やれやれ

痛む思いは厄介さ
腹より足より
我先に痛むんだからね
腹が痛むか、足が痛むかと思いきや
我先に思いが痛みだすもんだから
つい何事もありませんようにと
祈りたくなっちまうのさ
腹もご無事で
足もご無事で
どうかみんなご無事でと
我先に祈りたくなるのさ
雨が降れば海に
空が晴れればお日様に

あんたが遠くにいるもんだからね




自由詩 痛む腹 Copyright 月形半分子 2013-11-16 00:24:23
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