シャボン玉
殿岡秀秋

朝起きたときに
眼の前に浮いている
小さくて透明な玉に
息をふきこむ

ふくらんでいく玉の
縁をなでると
中に
今日が観えてくる

三つのことをしよう
妻と買物にいって
郵便を出して
庭に植える花を買って帰ろう

大きくなった透明な玉から
今日は何色かしら
という声が聴こえてくる

青か
緑か
もしかしてピンク色かな

こんな色かしら

小さな泡が
透明な玉の中に湧く
ピンク色だ
シャボン玉が内側から
ピンクに染まって
笑顔になってふくらんで
勢いよく舞いあがる

ぼくの口元がほころぶ
ならば植える花は
さくら草にしよう

玉はぼくの手からはなれて
透明な予感が
しばらくの間
はずんでいる


自由詩 シャボン玉 Copyright 殿岡秀秋 2013-11-15 03:49:17
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