真夜中の耳
そらの珊瑚

君の胸の音を聴いている

瞳を閉じれば浮かんでくる
電車がゆく
車輪の音は確かなリズムを刻む
無機質でいて
それはなぜか温かい
からだじゅうに
張り巡らされた
赤い線路を
休むことなく
こんな真夜中にも電車はゆく

君の始発駅を心臓と呼ぶ
ぐるぐるまわって
やがていつか終着駅となる

君の胸の歌を聴いている
名前さえまだなかった頃の
朝も夜も知らなくて
うすやみの湖の中で
母さんが
繰り返し
うたってくれた
とても懐かしい歌を


自分の歌は聴けないから
君の歌を聴いている




自由詩 真夜中の耳 Copyright そらの珊瑚 2013-11-14 08:07:06
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