冬の初めの蜃気楼
かの

月あかりが照らす街を
街灯が占拠してる
肉まんとおでんの湯気に
わたしは蜃気楼をみた

そろそろみんな凍えだす
赤と緑とモミの木に
浮足立つけど凍えだす
恋とか愛とか幸せに
浮足立つけど凍えだす

澄んだ星空の下で
LEDが宝石になって
スーパーにコンビニにファストフード店に
誰より早く幸せを予約する
約束はないのに予定は埋まってる

きっと何も変わらないのに
日付に急かされて
わたしたちは浮足立つ
全部覚えてたくなる
今日の街の色と音
一人で歩く蜃気楼の中

夜長を持て余して
コーヒーをすする
長風呂だってしたくなる
そろそろみんな凍えだすから
半身浴で泣いたりする


自由詩 冬の初めの蜃気楼 Copyright かの 2013-11-13 20:32:03
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